2025.03.18
プレスリリース
環境省「デコ活」推進事業 昼の余剰電力需要創出に向けた実証結果について~昼間への「ピークシフト」キャンペーンで統計的に有意な「上げDR」効果を確認~
「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンに掲げ、再生可能エネルギーのニーズ喚起と普及を目指す株式会社Looop(本社:東京都台東区、代表取締役社長 CEO:森田 卓巳、以下Looop)は、環境省が実施する令和6年度「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)推進事業の一環として、「昼の余剰電力需要創出に向けたモデル実証」を実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。
環境省「デコ活」 昼の余剰電力需要創出に向けた実証事業 記者発表会より。
左から:環境省 地球環境局地球温暖化対策課 デコ活応援隊長補佐 金井大樹様、Looop 戦略本部 GX推進部 エネルギーイノベーション課 課長 野村勇登、Looop 執行役員 電力本部 本部長 小川朋之、Nature株式会社 代表取締役 塩出 晴海様、事業開発 海老谷実様、環境省 地球環境局地球温暖化対策課 デコ活応援隊長(脱炭素ライフスタイル推進室長)島田智寛様
今回の「昼の余剰電力需要創出に向けたモデル実証」で実施した3つの実証の内容と結論は下記の通りです。
実証①市場連動型電気料金プランを活用した行動変容型DRの実証
実証内容:
Looopの市場連動型電気料金プラン「スマートタイムONE」の契約者に対し、実証期間において電気料金を0円で提供する群およびネガティブプライスで提供する群を用意し行動変容型DRを促す。
実証期間:
2024年11⽉20⽇(水)12時00分~12時59分
2024年11⽉24⽇(⽇)12時00分~12時59分
2025年1⽉8⽇(水)12時00分~12時59分
2025年1⽉12⽇(⽇)12時00分~12時59分
サンプル数:
電気料金0円提供の群約6,000世帯/ネガティブプライス提供の群約6,000世帯
主な検証内容:
1. 実施時間帯の上げDR量
2. 実施時間帯以外の下げDR量
3. キャンペーン中の上げDRによる電気代削減効果
4. 参加者のアンケート分析結果
結論:
・キャンペーン実施時間において全セグメントで統計的に有意な上げDR効果が確認され、下げDRについてはエコキュート保有者を中心に一部の参加者にのみ効果が確認された。秋の平均上げDR量はセグメントによって 0.04kWh/30分~0.51kWh/30分、冬では0.04kWh/30分~0.48kWh/30分の範囲で変動した。
・ネガティブプライス群の上げDR量は無料群と大きな差がなかった。
・DRの手段としては家電を使用したケースが多く、主に冷暖房機器の使用が多い傾向にあった。EVやエコキュート保有者はそれらの機器を活用する傾向が顕著にみられた。一方、DR実施できなかった理由として「昼間は仕事で外出」「使用可能な家電が限られる」が多く挙げられた。
・出力抑制を吸収する程のDR効果を得るためには、より明確なコミュニケーションが必要。また、行動変容を必要としない機器制御などの方法を組み合わせるとより良い。
実証②家庭用蓄電池の市場連動制御による機器制御型DRの実証
実証内容:
Looopが販売する家庭用蓄電池「SOLABOX」の導入者に対し、実証期間において太陽光自家消費と市場連動制御を組み合わせた充放電制御を行う。
実証期間:
2025年2月3日(月)~2月17日(月)の2週間
制御対象機器:
蓄電池
サンプル数:
40世帯
主な検証内容:
1.家庭用蓄電池の市場連動制御による使用電力量(系統買電量)・電気代の変化
2.参加者のアンケート分析結果
3.蓄電池DR普及に係る各種課題の洗い出し
結論:
・当該実証期間・対象者においては、太陽光・市場連動ハイブリッド制御の蓄電池の導入により、通常の太陽光自家消費モードの蓄電池を導入した場合と比べ、太陽光の自家消費は最大化したまま、月平均400円程度の追加的な電気代削減が可能であることが示された。
・世帯人数が多い・夕方夜間の消費量が多い・余剰電力が少ないユーザーほど、通常の蓄電池と比べた電気代削減効果が大きくなる傾向にあった。
・アプリ・リモコン等のUI/UXを向上させることで、DR効果の最大化や、制御の受容度・参加率の拡大に繋がることが示唆された。
実証③指ロボットによる家電の市場連動制御による機器制御型DRの実証
実証内容:
指ロボット(遠隔で家電のボタンを押せるIoT機器)を通じ、実証期間中、家電を市場価格が安い時間帯に稼働させる制御を実施する。
実証期間:
2025年1月8日(水)~1月29日(水)の3週間
制御対象機器:
洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、浴室乾燥機
サンプル数:
各機器 5世帯
主な検証内容:
1. 指ロボット導入による電気代削減効果
2. 指ロボット導入による使用電力量の変化
3. 指ロボット導入によるお客様の受容度(インタビューにより測定)
4. 指ロボットによる家電制御に関する定性課題
結論:
・家電を市場連動制御することにより最大13%の電気代削減効果があり、食器洗い乾燥機は対象者により2.6%~12.9%、浴室乾燥機は同1.7%~8.8%、洗濯乾燥機は同1.6%~13.2%であった。ただし、本実証の参加者は、もともと市場価格に応じた行動変容を行っていたため、シフト効果は限定的であったと考えられる。
・家電の動作時間を市場連動型電気料金単価の安い時間にシフトさせることによる、衣類の生乾きや食器への汚れのこびりつきなどの弊害は見られなかった。一方で、家電への指ロボットの取り付け難易度が高く、また消費電力量を測定する手段が無いなど導入ハードルが高いことが分かった。また、ユーザーの希望する電気代削減効果は平均551円/月であり、削減額のみで比較すると検証結果と乖離があった。
・家電制御の普及の為には家電メーカー、IoT機器メーカー及び電力会社の連携が不可欠であることが示唆された。
実証結果の詳細に関しましては下記のレポートをご参照ください。
URL:https://prtimes.jp/a/?f=d58095-131-c33e56cd4a025a0077ba42cd4da3a328.pdf
Looopは今後も官民の連携を通じ、再生可能エネルギーを最大活用した、新しい豊かな暮らしを提供してまいります。