住宅用コラム
ソーラーパネルとパワコンが根幹となる住宅用太陽光発電システムの仕組みとHEMSの活用方法
最終更新日:2021.12.23著者:Looop編集部
将来のエネルギー政策の在り方の検討は、石油や石炭などのエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、避けては通れない重大な問題です。そんな年々深刻化するエネルギー資源問題を解決するための方策として、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどを利用した再生可能エネルギーに注目が集まるようになりました。ここでは一般の方々にとっても身近なエネルギーである太陽光を利用した「住宅用(家庭用)太陽光発電システム」について解説していきます。
住宅用太陽光発電システムの仕組みとは?
住宅用太陽光発電システムとは、一般住宅やビルの屋根やベランダや壁に設置したソーラーパネルを利用して、太陽の光から電気を作り出すシステムのことです。太陽光を受けたソーラーパネルによって発電された直流電力をパワコン(パワーコンディショナ)で電力会社と同じ交流電力へと変換し、家庭で使用する電気エネルギーとして消費します。消費電力よりも発電電力が上回った場合、余剰分を電力会社に送って買い取ってもらうことが可能ですし、蓄電池に溜めておくこともできます。
一方天気が悪くて太陽光による発電が充分できなかったときは、不足分を従来どおり電力会社の電力で補うか、溜めておいた蓄電池の電気を使用します。太陽光を電気エネルギーに変換できる効率は、主にソーラーパネルとパワーコンディショナの性能によって決まります。
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電の最大のメリットはエネルギーをクリーンに作り出すことができ、しかもエネルギー源が無尽蔵であることです。化石燃料とは違って枯渇を心配する必要がありませんし、大気汚染物質を発生させません。また発電システムの構造がシンプルなので、大規模施設から一般家庭まで幅広く設置でき、メンテナンスが比較的簡単であることも大きな魅力です。
さらに光熱費を削減できますし、余剰電力を買い取ってもらえる点で経済的です。デメリットとしては、安定しない発電量が挙げられます。太陽光がエネルギー源のため発電量が天気に左右され、当然夜間に発電はできません。ソーラーパネル設置の初期費用が比較的高額であることも難点です。ただし光熱費の削減効果などにより、初期費用分の損失は徐々に埋まっていきますので、長期的に見れば大きなデメリットにはなりません。
住宅用太陽光発電システムとHEMSの関係
日本政府は「2030年までにすべての住まいに『HEMS』を設置することを目指す」と発表しました。HEMSとは「Home Energy Management System」の略称で、「ヘムス」と読みます。端的に説明すると、家庭で使用するエネルギーを可視化して管理するシステムのことです。電気やガスや水道などの使用量をリアルタイムで可視化し、自動制御することが可能です。
このHEMSは多くのメーカーから発売されていますが、中には太陽光によって発電された電気量や蓄電池に蓄えられた電気量を可視化してくれるシステムもあります。HEMSを活用することで、住宅用太陽光発電システムで得られた電力がどのように使われているか、また電力をどう運用するのが効率的なのか、チェックできるようになります。
太陽光発電の未来
太陽光発電による電力供給量は、化石燃料をエネルギー源とした火力発電の電力供給量にまだ遠く及びません。しかし大規模な太陽光発電をおこなうメガソーラー事業が各地で展開されていますし、ソーラーパネルやパワコンの性能向上によってエネルギー変換効率が高まれば、太陽光発電による電力供給量の割合増加は充分に可能です。住宅用太陽光発電システムの普及率も、どんどん高まっていくことが予想されます。